現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします  レイと綺麗

「キレイさんさえ良ければ、
お願いしたいと思います」
王子は、キラキラ光る瞳で答えた。
その瞳は茶色、
ヘイゼルナッツの色合いだった。

私はおばちゃんだぞ。
乙女の恋心フィルターなんぞ、
とっくに摩耗しているぞ。

綺麗は指に力を入れて、息を吸って吐いた。

「あの、お金は払ってください!」
そう言って、高梨の足を再度蹴った。

王子は赤くなって、慌てて答えた。
「もちろんです!そんな・・」

高梨が冷静に王子を制した。
「この件は会社の必要経費で
落としますので、
交渉は私にお任せください。」

ルルルルルル・・

王子があわてたように、
上着のポケットからスマホを出した。

「あの・・すみません。
電話で・・失礼します」
王子は席を立って、玄関の方に向かった。

フランス語らしい・・
早口で何かしゃべっている。

綺麗は、高梨のスネを蹴った。
「なんで、あの人なのよ!
メイドって何さ!」

高梨は平然と
「だってお前、金に困っているんだろ。」

「あたしゃ、てっきり女の子だと思ってさ・・!」
綺麗は、指で机をコツコツ弾いた。

高梨が腕組みして、顎をしゃくった。
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