別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「陸人さん……」


スマホを見ると、何度か電話がかかってきている。
しかし出なかったからか、メッセージが入っていた。


【今日はケロイドに有効な新しい薬剤についても話を聞いたよ。医学は進歩してる。しっかり勉強して帰る】


彼は本当に外科医になりたかったのだろうか。

ほかに夢があったのに、私のせいであきらめたのかもしれない。

私を気遣う言葉の数々がうれしい一方で、そんなことを考えてしまう。


【来たばかりなのに、もう心春に会いたい。心春の手料理楽しみにしてる】


「ほんとに?」

罪の意識なんて背負わなくていいのに。
だって、あなたがこの傷を作ったわけじゃないでしょう?

いっそ、責任を感じているから一生面倒を見るとはっきり言ってくれればよかった。

愛をささやいたりしなくてよかった。
優しくしてくれなくて、よかった。

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