別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
正月は保育園が閉まってしまうため、凛を認可外の保育所に預けなければならない。

だからありがたい申し出だけれど、彼のハードな仕事ぶりを知っているので安易に頼るのはためらわれる。


『育児の一番大変なときを心春に任せてしまったんだ。これくらいやらせてほしい。というか……頼りないかもしれないけど、預かりたい』


そっか。忙しいのに申し訳ないと思ったけれど、彼は凛ともっと触れ合いたいのかも。


「なかなかおてんばですよ?」
『どんとこい』
「それじゃあ、お願いします」


このまま家族として暮らしていければいいのに。

そんな願望が込み上げてくる。

でも、私ではなく凛の気持ち、そして陸人さんの将来についてしっかり考えなければ。


『よし。明日の仕事も頑張れそう。重さんのところに行ってくる。また報告するから』
「はい。お願いします」


そこで電話を切ったが、いつまでもスマホを耳に当てていたい気分だった。
< 213 / 335 >

この作品をシェア

pagetop