【完結】カルティナ姫と三人の王子〜目が覚めたら婚約者が三人いました〜
◇ ◇ ◇



「カルティナ、ちょっといいか?」

「お父様? どうされたの?」

 その日の夜、お父様はわたしのいるリビングへとやってきた。

「カルティナ、どうだ? 婚約者は決まりそうか?」

 やっぱり、そう聞いてくると思ったわ……。

「……まだよ。 そんな簡単には、決められないわ」

「それもそうか」

「後もう少し、時間が欲しいわ。……まだ三人のこと、知れてないこともあるし」

 もっと色々知ってからじゃないと、結婚は決められない。……将来のためにも、ちゃんと真剣に決めたいの。

「そうか。まあ愛を育むということは、簡単なことじゃないからな」

 と、お父様は言う。

「……そうね。本当にそう思うわ」

 愛が何なのかも、わたしはまだ深く分かっていない。 愛するとは何なのか、愛するとはどういうことなのか。
 まだわたしは、勉強している途中だから。

「お前にもちゃんと、愛が何か分かる日がくるさ。 生きるってことは、誰かを愛するってことだからな」

 お父様が言うと、なんかしみじみしちゃう。

「誰かを、愛すること……」

 好きという気持ち、愛という名の愛情ーーー。
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