嘘と、恋。

「まりあちゃん、服とか気に入らなかった?」


私の顔が暗いからか、康生さんはそう訊いて来て。


「ううん。
本当に、貰っていいのかな…って。
けど、私、お金あんまりないから…」


「まりあちゃんが家出中でお金ないのも分かってるし。
それに、拾ったからにはしっかりと面倒見るのは、拾った者の義務だから」


なんだか、私は捨て猫や何かみたいだな、と思った。


いい人に、拾われて良かった。



「とりあえず、俺らは出掛けるから。
合鍵、置いて行く。
コンビニくらいなら出掛けてもいいけど、あんまり外うろうろしちゃダメだから。
昼ご飯は、また適当に食べてて。
冷蔵庫にユウにコンビニで買って来て貰ったもの、適当に入れといたから。
夜は…そんなに遅くならないと思うから、
一緒に何か食べに行こうか?」


そう言われ、はい、と頷いた。


なんだか、康生さんがいい人過ぎて、逆に怖いと思う感情もなくはないけど。


「じゃあ、行ってきます」


康生さんはそう言って、ユウさんと部屋から出て行った。




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