お館様の番選び
「あかり。おかえり。」
「あっ、明叔父さん。ただいまー。」
「だからっ、叔父さんはやめろって。」

ちようど郵便受けを覗きに門まで出てきていた明叔父さんはわたしの父の一番下の弟で、父と同じくこの家に仕えている。

叔父といっても父よりわたしのほうが歳が近く、叔父さんと呼ぶと、垂れた甘めの目をさらに下げて困り顔のイケメンさんになった。

「あかり。朧様のところに行くんだろ。これも持ってけ。」
と手にした郵便物で頭をぺしっとする。

「はーい。朧様は今どこにいるの?」
「さっきは、お館様の仕事部屋にいたけどなぁ…。」
「んー。了解っ。」

朧様宛の郵便物を受け取りわたしは屋敷に向かった。
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