ただ、まっすぐ君を想う。
ただ、年明け

大晦日

友達と11時に待ち合わせした



「すごい混んでるね〜」

「迷子にならないでね!雛」

「雛小さいから見失いがち」

「私おみくじ引く〜」

「あ、いいね!私も〜」



帰ったらすぐ

凰ちゃんところに行こう



出掛ける前から

そればっかり考えてた



私もやっぱり

彼氏できたら彼氏優先するタイプじゃん



凰ちゃんに限るけど



そんなことを考えてたら

友達とはぐれた



〔雛どこ?〕



〔ここ!〕



〔え、どこ?〕



〔なんとか探すからみんな先に行ってて〕



〔大丈夫?〕



〔うん大丈夫〕



人の波にのまれながら

友達にメッセージを送る



「あ!一条さん!」



人の波の中に冴島くんがいた



「冴島くん
今、友達とはぐれちゃって…」



「オレは
これから友達と待ち合わせなんだけど…」



「この人の多さだと
なかなか見つけられないよね…」



「え?なに?」



お互いの声もよく聞こえなくて

冴島くんが少し屈んでくれた



「一条さんの友達、見つかるといいね」



「お互いにね」



「諦めて、ふたりでお参りする?」



「え?」



「とりあえず、進もうか…」



とりあえず進むしかないぐらい混んでて

話も上手く噛み合ってない気がする



「私達も、はぐれそうだね」



別に一緒に来たわけじゃないのに

はぐれてもいいか…って

言ったあとに思った



冴島くんに

きっと聞こえてない



冴島くんが私のコートを掴んだ

はぐれないようにしてくれてるの?



「一条さんの友達、いそう?」



「んー…どーかな…」



冴島くん

私の心配しないで

自分の友達探せばいいのに…



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