きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「うそ……」

あの中に宮本くんはいるかな。

どうしよう。会いたくて来ちゃったけれど、あの集団の中にいるのなら、声かけづらいな。

反射的に柱の陰に隠れて様子を伺っていると、佐々木くんたちと笑いながら歩いてきた宮本くんの姿が視界に入った。

同時に、驚いたような表情を浮かべた宮本くんと目が合った。


「なんでこんなところにおるん」

彼は集団から抜けて、私の元へやってきてくれた。

「ごめん、急に来ちゃって……」

「いや、それはいいんやけど。どうしたん? いつから待ってたん?」

彼の質問攻めに狼狽えていると、佐々木くんの声が聞こえた。


「高橋じゃーん!」

「佐々木くん! 試合、お疲れ様! 大活躍だったね」

「うわ〜! 嬉しいこと言ってくれるじゃん! 応援ありがとう!」

佐々木くんは途中から試合に出ていて、ドリブルをしながら軽快にゴールを決めていたのが印象的だった。
私が知らなかっただけで、彼も県内ではそこそこ有名な選手らしい。
深山くん曰く、だけど。

「なになに、宮本に会いに来たの?」

佐々木くんは、ニヤリと笑う。

「それとも俺に会いに来てくれた?」

「佐々木、うるさいで」

宮本くんがぴしゃりと言い放つ。

「うわー、仮にも同じチームメイトにそんなこというなんてひどくない?」

「はいはい」

軽くあしらわれた佐々木くんは、はーっとため息をつきながら、私に手を振る。

「またね。学校で」

「うん、またね。本当にお疲れ様!!」

二人でチームメイトたちを見送る。

全員が改札を通り抜けたところで、やっと私と宮本くんは向き合った。
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