きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「ねえ、宮本くん」

私はノートを彼の目の前に掲げると、「きちんと聞いてね」と伝える。

「今からノートは貸すから。だから、もう、私の好きな人のことは忘れてね?」

「うーん、どうしようかなあ……」

「それじゃあ、やめておく」

スッと彼の前からノートをどかせる。

「あ、ごめん、調子乗り過ぎました。見せてください」

「見せてください? それだけ?」

厳しい視線と口調で問いかけると、宮本くんはちょっとだけ悔しそうな表情を浮かべてから「もう忘れます」と続けた。

「何を?」

「高橋の好きな人」

「よろしい」

私は彼にノートを渡す。

「もし約束破ったら、古田にノートを貸したこと、チクるからね?」

「……」

「返事は?」

「……はい」

宮本くんはジロッと私を睨むと、早速ノートを開けた。
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