溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
(5)事実は小説よりも波乱万丈?
 ファミリーレストラン『ガストン』でランチを楽しんだ後、日和美(ひなみ)は「大丈夫です」と嫌がる不破(ふわ)を半ば無理矢理脳神経外科へ引っ張って行った。

 病院では頭に衝撃を受けたと言う事で画像検査(MRIとCT)をし、医師の問診を受けたのだけれど。

 比較的大きな病院だったからだろう。

 画像検査の結果は日を置くことなく一時間足らずで出て、それを見る限りでは脳の方への異常はなさそうとの事でホッとする。
 不破は疾患発症前に起こった出来事を思い出せないので、逆行性健忘だろうと言われ、状況から見て外傷性記憶喪失でしょうと診断された。
 外傷性記憶喪失は、普通自動車事故などで頭に強烈な打撃を受けた場合に起こるらしく、患者は意識の喪失や昏睡を経験することがあるらしい。
 確かに不破も布団が降ってきてしばらくの間、意識を失っていたことを思い出した日和美は、医師にそれも告げた。
 こういう場合の記憶喪失は通常一時的らしいのだが、実際にどれくらいの期間持続するかは傷害がどの程度深刻かによるそうだ。

 不破は脳に異常があるわけではないし、比較的早く記憶が戻るかも?と思った日和美だ。
< 48 / 271 >

この作品をシェア

pagetop