三番線に恋がくる
ハート
電車を一本遅くする。
するとびっくりするくらい朝はのんびりできるものだ。

お母さんの出勤時間が遅くなったこともあり、私は朝の時間をゆっくり過ごすことができるようになった。
朝ごはんを食べて、コーヒーを飲んで、朝の占いを見たりして。

弟もお母さんの言うことは割りとよく聞くし。
もう朝はイライラしない。
それほど嫌いなものではなくなっていた。


「はい、じゃあお弁当入れておくから。あと水筒ね。おやつは入れた?」

お母さんの確認の声に弟たちが元気よく返事をする。
今日、彼らの学校は遠足にいくらしい。三人とも上機嫌だ。

「白雪ー、そろそろいかなくていいのー?」

お母さんが優雅にのんびりしている私に声をかけてきた。

「まだ大丈夫ー。電車一本遅いので行ってるから」

今までなら用意しないと間に合わなかったけど、一本遅い電車ならまだいくらか余裕がある。
余裕のある朝はいい。

でも、どうしてか私はため息ばかりついてしまう。


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