それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「だろ??」

窓の外には、まるで競う合うようにたくさんの桜の花が間近で咲いていて、思わず私は感嘆の吐息を漏らした。

「ここ、俺が知っている中で、桜が綺麗に見えるベストスポット」

なかなかいい眺めだろ? という問いかけに、思わず私はうなずいてしまった。


「ほら、やっぱり、お前、いい笑顔じゃん」


「はい?」

「んー? お前の笑顔、いいなって」

先生がにっこりと微笑む。

「お前さ、全然笑わないんだもん。授業中も休み時間も、いつも難しい顔ばっかしてさあ」

先生はふーっと息を吐きだすと、頬杖をついて続けた。

「桜、好きなの?」

「桜?」

「うん、桜、好きなの?」

「……どうして?」

「いや、お前、桜を見ているときは、表情が柔らかくなるなって思って。あ、後、ピアノを弾いている時も、かな」

先生の言葉に、私は慌てて手で自分の頬を触る。

そんな私を見て、先生はハハッと声をあげて笑った。


「始業式の日。俺が挨拶している時、お前全く俺のこと見なかったけど」


うわ、まだあの日のこと、根に持たれているのか……。

ねちっこいなあ、もう。別にいいじゃん。

そう思ったことが顔に出たのか、先生は、「俺だって緊張している中頑張って挨拶したのに、無視されると辛いんだよ」と笑ってから続けた。

「それでも、お前、窓の外見ているときは、すごい穏やかな表情浮かべていたから。始業式の日以外も、いつも窓の外を見ているときは、良い表情するからさ。桜、好きなのかなって。だったら、この場所からの桜、見せてやろうかなって」

先生はそこまで言うと、視線をまた桜の木の方へ戻した。

「高3って、受験や将来のことで、いろいろ悩んだり不安になったりすることも多い時期だと思うけど、あんまり無理すんなよ。何かあれば、話ぐらい、聞いてやるから」

この人……。私のこと、見てくれていたんだろうか。

うざいけれど。嫌いだけど。

それでも、ちょっとは優しいところ、あるのかな……。

「ありがー…」

「うわ、俺、今めっちゃ良いこと言ったよな!?」

私は思わず口を紡ぐ。

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