あやかし戦記 永遠の終わり
(姉さん、姉さん、殺せなかったけどちゃんと姉さんの分まで怒りをぶつけたよ……!姉さんのこと、ずっと忘れててごめんなさい。姉さんが呪いをかけてくれたから、あたし、たくさんの仲間に出逢えたの……。でも、できるなら姉さんと「終わったね」って笑い合いたかった。……姉さんに逢いたい、もう一度だけでいいから笑顔が見たい……)

頭に中に鮮明に蘇ってくる記憶を、ツヤは泣きながらただ思い出していた。泣いた日、笑った日、怒った日、共に歩んだ日、確かに幸せだった。鬼ではなく人として隣に並んでいた。

「まだ、戦いは終わっていないでしょ?」

ふと、耳に聞こえた声にツヤは顔を上げる。声のした方を見ても誰もいない。だが、その場所には白い小さな花が落ちていた。それは姉と同じ名前のカスミソウの花だ。

「姉さん……」

花をそっと手で包み、ツヤはカスミソウを自身の髪に飾った。まるで、カスミがそばにいるかのような不思議な感覚を覚える。

「レオナード、ヴィンセント、状況はどうなっている?」

二人の元へ走れば、二人はボロボロになりながら戦っているところだった。ツヤは応戦するため、毒針を手にする。

「死ぬのがマシなくらい、痛めつけてやる!」

涙を拭ったツヤは、いつものアレス騎士団団員の顔に戻っていた。
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