あやかし戦記　永遠の終わり
「レオナードくん、窮屈に感じるならもう少し蝶ネクタイ緩めてあげるよ」

グレーのタキシードに赤いネクタイを着たアレンが近付き、「お願いします」とレオナードではなくヴィンセントが頼む。その姿はまるで、小さな子どもの面倒を見る父親だ。

「男はあっという間に支度が終わるけど、女はやっぱり大変なんだな〜」

「レオナード、こういうのはちゃんと待ってあげないといけないんだよ。イヅナのドレス姿、楽しみだね」

唇を尖らせるレオナードに対し、黒いタキシードに紫のネクタイを結んだギルベルトが話しかける。だが、イヅナのドレスの話をした途端、ヴィンセントの目が鋭くなった。

「ギルベルトさん、イヅナのエスコートは幼なじみの僕がしますので」

「何言ってるの？別にエスコートは君がやらなきゃいけないってルールはないでしょ？」

ギルベルトとヴィンセントがどっちがイヅナをエスコートするかで言い合いになりかけた時、「すまない。支度に手間取った」と言いながらチターゼがやってきた。普段パンツスタイルの彼女のドレス姿は貴重である。
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