本気の恋を、教えてやるよ。



「……あ。稲葉、ちょっと止まって。ごみ、ついてる」


ふと駒澤くんはそう言うと、私の前髪へと手を伸ばしてきて。


取れたよ、と笑う彼の手には埃がついていた。


「ありがとう」


優しい、なあ。


こういうふとした時の駒澤くんの優しさに、泣きたくなるほどの愛しさを覚える。


「……どうしてそんなに優しいの?」


優しくしてもらえるほど、立派な人間でもないのに。


「え?」


零した言葉は、駒澤くんに届けるつもりは無かったものだった。


だけどどうやら聞こえてしまったらしく、駒澤くんはキョトンと首を傾げ。


「好きだからに決まってんだろ」


それ以外に何があるんだよ、とでも言うように、真っ直ぐにそう言い切ってくれた。


……駒澤くん。


そんな風に言ってくれてありがとう。

好きになってくれて、ありがとう。


まだ、言うことは出来ないけど。

私もすぐに伝えるね。


──あなたのことが、好きです。




< 240 / 392 >

この作品をシェア

pagetop