本気の恋を、教えてやるよ。



これじゃ図星だと言ってるようなもんだ。


「何話したの」

「ちょっと、いい加減にしてよ」


そこで苛立ったように声を上げたの梓ちゃんで。


梓ちゃんは私の肩を、グイッと引き寄せた。


「茉莉と駒澤が何話してようがあんたには関係ないでしょ」

「妻夫木にだって関係ないだろ?」

「私は二人のことにとやかく言った覚えはないわ。……ねえ、まさかとは思うけど、また茉莉のこと狙ってるんじゃないでしょうね」


すると、ふ、と慶太の口角が上がり。


「そうだよ」


不敵な笑みで、言い切った。


「あんた、よくもそんな堂々と……!」

「前みたいな最低なことはしない。それから……」


ちらり、慶太は私を見ると、すぐに視線を梓ちゃんへと戻した。


「妻夫木、勘違いしてる」


はあ?と不機嫌そうに漏らした梓ちゃんの声は聞かずに、「向こうで待ってるから落ち着いたら来て」と慶太はその場を後にした。



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