本気の恋を、教えてやるよ。



だけどきっとそれはただの夢物語で、甘い幻想に過ぎないんだろうから、もう期待はしない。


一時的にこうして優しくしてくれたって、きっとまたすぐに浮気する。


そして私はそれを、また笑って許すのだ。


「茉莉……頼むから、もう別れるとか、言わないで。俺、茉莉のこと……めちゃくちゃにしたくなる」

「慶太……」


私の首筋に顔を埋めているから、どんな表情をしているのかは分からない。


でも、私を抱きしめる腕が震えていて、怯えていた。


「なんで、別れるなんて言ったんだ……」


泣きそうな声で、でもどこか詰るような。


こちらを僅かに責めるような声色に、眉を下げた。


「だって、慶太もそっちの方がいいと思ったから……」


慶太はカッコイイから、もっと美人な女の子ならいつでも捕まえられるだろうし、選り取りみどりだろう。


「立木さんも、びっくりするくらい美人だったし……慶太も私なんかじゃなくて、立木さんの方がいいんじゃないの」



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