角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

教室内は、すごく騒がしくなる。

みんなの視線は、私と先輩に注がれる。


「なんで返事返してくんねーの」


みんなの前で私に声をかける。

私は……知らないフリをしたいのに。


「……返事って、なんのことですか?」

「メッセージ送ったじゃん」


少し声色が低くて、先輩怒ってるみたい。

でも、私……悪くないもん。

悪いのは、先輩の方だよ。彼女ができたのに、私に連絡なんてしてくるから。


「わ、私には……なんのこと、だか……」


もう、やだ。目立ちたくないのに……みんなすごく見てる。


この場所から逃げたい。


「なんでそんなこと言うんだよ。俺、なんかした?」


先輩、ほんとに分からないの?


どうしてそんなことができるの……。
どうして彼女を一番に考えてあげないの。


「……」


もう、嫌だ……。

早くここから逃げたい。逃げたい。


……消えてしまいたい。


「もうらちあかないから連れてくわ」


私の手を取ると、グイッと引っ張った。


「きゃー!!」


その瞬間、悲鳴にもとれる声が響き渡る。
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