角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

そうなんだ。やっぱり私のために……。

日向くん、優しいな。


「……ありがとう、日向くん」


私に告白をしてくれて、ありがとう。

その気持ちに沿うことはできないけど、私を支えてくれたことには違いないから。


「──あっ……」


突然、日向くんが前方を見て声を漏らす。

その声に顔を向けると、そこにいたのは……


会いたくてたまらない先輩だった。


「っ、」


どうしよう。先輩と……こんな形で……。

慌てて顔を下げる。とぼとぼと歩く。


息が張り詰めそうで、苦しい……。

早く、どうか過ぎ去って……


先輩が私の隣りを通り過ぎるとき、ぎゅっと目を閉じる。


懐かしい匂いが、通り過ぎた。


……先輩。


この関係がたまらなく苦しい。苦しくて、逃げたくなる。


少し歩いて、立ち止まり、ゆっくりと振り向いた。

先輩は、ただ前だけを向いて歩いていた。

一度も私の方を振り向かないまま。
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