角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

──ピロリロリーン。


「瑠衣、電話鳴ってんじゃないの」

「えっ……?」


電話なんて鳴ってたかなぁ……。

巾着の中からスマホを取り出すと、メロディーが流れていた。

着信は、お母さんから。


もしかして私の置き手紙を読んで帰りが遅いのを心配してるとか……?

でもまだ、8時過ぎだからあたりは明るいよね。


「も、もしもし」

『あ、瑠衣? 夜ご飯ちゃんと食べられてる?』


へ、どういうこと……。


「お母さんそれって……」

『いやーねえ。今日は高校の頃のお友達と泊まりで旅行に行くってお母さんこの前言ってたじゃない』

「えっ……」


泊まりで旅行に行く……?
そんな大事なことを聞き逃しちゃったってこと?


『え、って。お母さんこの前ちゃんと言ったわよ』

「で、でも、私ほんとに知らない……」


この前って、もしかしてお盆で九州に行ってるときのことかな。あのときは、先輩に会いたくてたまらなくて、ずーっと先輩のこと考えてた気がする。
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