初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜




「俺の為の涙なら、乾くのがもったいなく感じる」



 その色素の薄いブラウンの瞳には、私の泣いて腫れた顔が写っている。


 新田さんは私の頬に手を当てながら、言葉を続けた。



「俺は香苗に初めて会った時、セフレも彼女も変わらないって言ったけど、今はそうじゃねーなって思う」
「……そうなんですか?」
「だから、もうそういうの全部切ったから。俺」
「え」
「もうセフレも彼女も居ない。連絡取ってるのはお前だけだから」



 あれだけ色気ムンムン女っ誑しだった新田さんが、完全フリー?


 新田さんはそう言うと、パッと顔を背ける。
 そして、涙が引っ込んだ私の手を握りグッと引いた。



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