もう一度、その声が聞きたかった【完結】
「ごちそうさまでした。
ありがとう…美味しかったよ。」

スープを完食した私を見て
彼は安心したように微笑んだ。

彼も食事とシャワーを済ませて
私はソファで彼に向き合い話出す。

「今日ね、社長と総務部長に
異動か本社勤務か決めて欲しいって言われちゃった…。
来週には後任の店長が大阪に異動するみたい。
事件のことで大阪店のスタッフの中にも
動揺が広がってるから男性社員が来るそう。
私、頑張ってきたのになぁ…
こんな形で投げ出すなんて悔しい…」

『さくらは本当に頑張ってるよ。
大阪店はOPENからずっと好調だし
まだ3ヶ月目だけど成果は十分だ。
俺も、大阪から離れた方がいいと思う。
仕事はこっちでも出来るし
怪我もいつか治る…
だけど俺はさくらの心は…?
さくらは過去にも大きな苦しみに耐えてきて
それは現在も続いていて
さくらの心が壊れそうで怖いんだ。
俺のためにも東京に戻っておいで。』

「勇人の気持ちはわかった。
ちゃんと考えてまた話すから。
ありがとう…。」


彼はこんなにも私のこと思ってくれてる。

それなのに私は彼にまだ隠していることがある。
彼のためを思って圭介の事を隠し続けるのは
果たして正解なのか…でも今更言えない。

圭介に再会した時にきちんと話しておけばよかったと今になって後悔した。
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