もう一度、その声が聞きたかった【完結】
『さくらは前に進もうとしていたのに
俺は元カレばかり気にして
さくらを苦しめたな…』

「勇人だけのせいじゃないよ…。
勇人はずっとこんな私を支えてくれた。
私がちゃんと勇人に甘えられなかったから。
私、勇人のこと大好きだよ。
でもこのままだとお互いダメになる。
時間はかかるかもしれないけど
前のように先輩後輩に戻りたい。」

『…わかった。ありがとうな。
さくら、強くなったな。』

そういうと彼は私の頭をわしゃわしゃ撫でながら
微笑む。
目はうっすら涙で濡れていた。

私は彼の部屋に置いていた荷物をまとめた。

『マンションまで送るよ。』

「大丈夫。だけど玄関まで見送って。」

私は彼に部屋の鍵を返して
靴を履いた。

「勇人、短い間だったけどありがとう。
じゃぁ、また会社で…」

『こちらこそありがとう。またな…』


お互い目に涙を溜めて作り笑顔で別れた。

(勇人、ありがとう…)
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