もう一度、その声が聞きたかった【完結】
仕事もプライベートも充実し始めた
2月下旬。

私は仕事帰りに買った花を花瓶にいけていた。

''ブーブー、ブーブー''
通勤用の鞄に入れっぱなしのスマホが鳴った。

鞄から取り出し画面を見ると知らない番号。

「はい…」

『さくら、俺だけど…元気だったか?』

「圭介…」

『正解。俺の番号登録しておいて。
あのさ、今週の土曜日の夜空いてるか?』

予定なんてない。
けど圭介に会っていいのか悩んでしまって
すぐに返事できない私。

『さくら…
俺、さくらに会いたいんだ。』

「…土曜日、大丈夫…」

『ありがとう。
じゃぁ、後でメール入れるから
その場所に19時集合な。
ドレスコードがあるから綺麗めな感じで。
あっ、絶対タクシーで来いよ。』

「わかった…」

『じゃぁな。会えるの楽しみにしてる。』

電話を切ると彼からショートメールで
レストランの地図が送られてきた。

ドレスコード…

いったいどんなお店なんだろう。

私はクローゼットを開け
綺麗めなワンピースなど数着ピックアップ。

鏡の前で合わせてコーデを考える。

ふと鏡に映る自分と目が合う。

(私なんだか楽しみにしてる…?)
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