日直当番【完結】
「いつもそんなものロッカーに入れてるの?」

「もしものときのためです」

「保健室行けばすむことじゃん」

「保健室はなぜか人が大勢たまるので好きません」

「あっそ」

「座ってください」
 指から流れ落ちる血をじっと見ていると、進藤くんは私にそう促した。既に進藤くんは消毒液とタンポンを両手に持って待ち構えていた。私はしぶしぶ近くの席に座り、進藤くんも私と向かい合うようにして椅子に座った。

「手を出してください」

「いいよ自分でやるから」

「僕の手はさっきアルコール消毒したので大丈夫です。さ、手を」

「そういうんじゃなくてさ…いいから貸して!」

 進藤くんの手から無理矢理消毒液を奪い取った。進藤くんなんかに手当されると、なんだか進藤くんの方が私よりも優位に立ちそうに思えたからだ。


私<進藤くん……


「うぁりゃ」

 利き手ではない左手で消毒液を押したため、加減が分からず液が大量に飛び出してきてしまった。

「見ていられませんね」

 あっさり消毒液を奪い取られてしまった。進藤くんの手が私の右手に触れる。冷たくて骨ばった手だった。
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