日直当番【完結】
「あっちー」

 何気なく男子のコートに目を向けると、白熱した試合が繰り広げられていた。田沢くんは手にボールが吸い付くようなドリブルで風のように駆け抜け、天野くんと桜井くんは正確且つスピーディーにパスを回し、そして皆川は軽やかなステップで鮮やかにレイアップシュートを決める。美しい…。皆川はバスケ部だけあって、やっぱり動きが違う。

 あ、進藤くんにパス回った。進藤くんてすぐにパス回しそうなタイプな気がするけど、意外とそうではないらしい。一度ボールを持つとなかなか離さないようだ。次々とディフェンスを身軽にかわしていく。

ていうか普通にうまいのですが。なんだあの手馴れたレイアップシュートは。進藤くんてあんなに運動できたんだ?

まわりとハイタッチを交わすでもなく、顔色ひとつ変えず飄々としている。

そしてまわりがシャツの裾で額の汗を拭ってお腹をチラ見せする中、進藤くんはしっかりシャツインしてハンカチで汗を拭っていた。うーむ、進藤くんらしい。

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