稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~
 アレルギーが強く出る相手とは、触れなくとも、息がかかる距離にいるだけでも痒くなってくる。鼻水が出て目が充血して。
 万が一そんな相手に触れられれば、全身に発疹が出て、熱が上がり、呼吸ができなくなって、命の危険すらある。
 お医者様も原因はよくわからないと。そのため、治療もままならず、もしかすると成長とともにアレルギーが直るかもしれないと今日まで来た。
 だけれど、治る見込みなど全くない。
 貴族の娘ともなれば、成人までには婚約者を持ち、20歳までには結婚するのが当たり前という世界だ。
 17歳になるまで、社交界に顔を出さず婚約者も持たない私。学校にすら通っていない。
 極力男性と接することなく今まで過ごしてきたのだ。
「ずっと家にいればいい」
 お父様はそう言うけれど。
 屋敷から出ずに一生を終えることを想像してしまった。
 女修道院は、女性しかいない。王城の敷地の3倍ほどの広い場所で、共同で畑を耕し、縫物や織物をして売り物を作っていると聞いた。
 屋敷に籠って一生を終えるよりも、修道院で生活した方が幸せなのかもと思ったのだ。
「お父様が生きていらっしゃる間は、私は公爵令嬢ですけれど……お父様が亡くなり、お兄様が後を継いだら、……私は厄介者の居候です」
「ロバートが、お前を厄介者扱いするわけないだろう?」
 もちろん、お兄様がそんな風に私を思うとは思えないけれど。
 それでも、お兄様が結婚して子供も生まれて……私の使っていた部屋は、次代の公爵令嬢……お兄様の子供がちが使うようになるだろう。
 私は、男性と接しないようにと、離れに住まわせてもらうようになるのか……人との接触がますますなくなってしまうのは間違いない。
 色々考えると、やはり行きつくのは女修道院。

 お父様が、私の固い表情を見て、私にもいろいろと考えがあってのことと分かってくれたようだ。
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