無理、俺にして
「つーかまじでおせーよオリちゃん」

「熱は冷めたかよー」

「っ」


フジの言葉に一瞬息が止まった。

熱なら、まだほんのり残ってたから。


「ん?」


その一瞬の硬直をフジは見逃さなかったようで、立ち上がってずいずいと近づいてくる。

俺の顔まであと数センチ。
もう息がかかるくらいまで距離を詰めてきた。

フジくん、キミはちょっと人より距離感がバグってるのをいつになったら自覚するのだね。


「ああーっ!!」

「うるさ」

「なんだよフジ」


何かに気付いたフジは、俺を指差して大声を出す。
分かってはいた、でも耳を塞ぐのがちょっと遅かった。

耳がキィーンとする。痛い。痛いよフジくん?

俺よりもフジと距離のある秋音とたっつんは、またかよといった迷惑そうな顔をしていた。


「オリ、お前っ、なんかもっとかわいくなってるじゃん!!」

「……あー……」


やっぱりこうなりますよね、なんて。

騒ぎになるのも知ってて、でも我慢できなかった。


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