龍臣先輩は今日も意地悪
【咲結side】

「「……。」」





この人と向かい合って話すのはいつぶりだろう。


二人の間に流れる沈黙の重さが、離れた期間の長さを体現する。





「…久しぶり。最近あんまり話してなかったね」


「…あー、わり。最近大会近いから部活忙しくて」





右手で後頭部の髪をわしゃわしゃとかく男子。



私の彼氏。武内遥輝。





「もうすぐ試合だもんね、大変だ運動部は」





なんて愛想笑いするけど、実はもやもやしてる。





部活が忙しくって、ね。



あなたの部活は浮気部でしたっけ?それとも密会部ですか?



バスケットボール部じゃないの、あんた。



バレてないと思ってる遥輝と、とっくに気付いている私の微妙なズレがさらに気まずさを増加する。


気づかなければ、私は今日も遥輝に対してニコニコ話しかけていたのだろうか。



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