幼なじみの一途な狂愛
「ここ?」
「うん。今度こそ、ありがと!送ってくれて」
アパート前で、再度お礼を言う梨々香。


「梨々、連絡先教えて?」
「え?」
「今度の日曜でもさ。デートしようよ!」

「え?で、デート?」

「うん!デート!
これからも、仲良くしてよ!」
スマホをプラプラさせながら言った、乙哉。

「…………私と、関わらない方がいいよ」

「なんで?」
「昔の私じゃないから」

「梨々は、梨々だよ。
昔と何も変わらない。可愛い妹(笑)」
微笑み言う、乙哉。


「…………さっきの言葉、撤回する!!」
「は?」
「乙哉、私のこと見えてない!」

「なんだよ、それ……!!」

「私は、最低なの!!」

「どんな風に?」
「どんなって……」

「教えて?」

「だから……」

「うん。
梨々?言って?大丈夫だから……!」


「………不倫」

「は?」


「不倫、してるの!!
最低な、女なの!!
ほら、最低でしょ?
関わらない方がいいでしょ?
だから━━━━━━━」

気づくと、乙哉の腕の中にいた。

「やっぱり、いつもの梨々だ……!」
「は?」
「ちゃんと、わかってんじゃん!
最低な行為って。梨々のことだから、このままじゃダメってわかってるんだろ?
でもその男が好きで、ズルズル今日にいたってる」

「…………なんで、わかんの?」

「いつも、梨々のこと見てたから」

「いいよ。最低だって罵って」

「うん、最低!梨々」

「うん」

「でも、好き!!」

「は?」
腕をといて、梨々香の顔を覗き込んだ。

「梨々ってさ。
純粋で、実は曲がったこと嫌いで、悪いことできないでしょ?
きっと今回も、悪いって十分わかってるけど、寂しくてズルズルいってるんだよな?」
「うん……」

「そうゆうとこ、俺は好きだよ!」
微笑む、乙哉。

「乙哉は、綺麗だね!」
「そう?そうでもないよ」

「……………乙哉、私…こんな最低な行為、終わりにしようと思ってる」

「うん、頑張れ!!」



連絡先を交換し、別れた二人。
乙哉は梨々香が部屋に入るまで、梨々香を見守りしばらくアパートを見つめていた。

「好きだよ、梨々……俺は、ずっと………」

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