幼なじみの一途な狂愛
「最低だ、私……」

罪悪感━━━━━━
本当に最低な話だが、梨々香は今初めて“罪悪感”を感じていた。

正直今まで最低だと言いながら、罪悪感を感じていなかったのだ。

元はと言えば和多が悪い。
和多が最初から“既婚者”だと言ってくれれば、こんなことにはならなかった。

と、どこかで自分自身を正当化していたのだ。

真っ直ぐな乙哉のメッセージを見て、初めて“罪悪感”を感じていた。

乙哉は“終わりにする”と言った梨々香の言葉を信じてくれているのに、結局今日も会っていたのだから。

和多にメッセージを送った。
『和多課長。私の連絡先、消してください。
今までありがとうございました』
『わかった』

これでいい。
これでいいんだ……

梨々香の最低な恋は、終わりを告げた。



「なんで、乙哉の顔が浮かんだんだろ……」

ポツンと呟きながら、帰路に着く梨々香。

「梨々ー!!」
「え……」

アパートの前に、乙哉がいた。

「なんで、既読無視すんだよ!傷つくじゃん!」

「なんで……」

「罰として、今から俺に付き合え!!」

「なんで……いんの?」

「会いたかったから」

「タイミング、悪すぎ!!」

「は?なんで?」

「今日は無理!!」

「梨々?どうした?ん?」

「優しくしないで!!」

「やだ!」

「帰って!!」

「……………だったらさ」

「何よ」

「抱かせて?」

「………は?」

「…………梨々を抱かせて?そしたら“今日は”帰る」

「………………じょ、冗談やめてよ…」

「冗談でこんなこと、言わないよ」

「無理だよ」

「なんで?」

「なんでって…」

「不倫相手には抱かせるのに?」

「は?」

「今も、抱かれてきたんだろ?」

「…………なんで、それを…」

「いつも、梨々を見てたっつったよな?梨々を見ればわかる」

「………ちゃんと、終わりにしてきたからいいでしょ!?」

「うん、だろうなって思った。
だから、抱かせて?
俺が……いつもの綺麗な梨々に戻してあげる」

「………」

「梨々。
俺は、梨々が好きだよ」

「え……」

「ずっと、好きだった」

「乙…哉…」



「俺なら、梨々に“一番”をあげられるよ」



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