慶ちゃんが抱いてくれない!


「もう何回も言ってるけど、俺は楓ちゃんの事好きだよ……楓ちゃんの事を愛してる人からのキスしか効かないの忘れてるでしょ」

「……あっ」

「本当楓ちゃんってウッカリ者だよね」

「そっか……あれ?私、武蔵君に呪いの事言ってないのに……それに呪いは魔女にしかわからないはず……」

「楓ちゃんが慶次とのキスであんなに動揺して逃げるから絶対何か都合の悪い事が起きたんだって思うでしょ。今までの楓ちゃんの言動と照らし合わせて今日1日真穂と慶次と三人で協力して真穂のおばあちゃんの家の本棚から呪いの事調べ出したんだよ」


実験で魔法薬を作ったりしていたとはいえ、真穂は魔力を持つ魔女になることを望んでいないから三人は魔女に関する知識なんてほとんど持っていないのに……それで私の呪いの事調べ上げるなんて……今日一日ずっと調べてくれていたんだ。



「……って!武蔵君!何でキスしちゃったの!?私、武蔵君の事好きになっちゃう!」

「何?今まで俺の事好きじゃなかったの?ふーん……思わせぶりだったんだ?」

「違っ……それは違うよ!?本当に自分の気持ちで好きで!あのね?製薬失敗すると呪いを解く時に副反応があって……」

「知ってるよ。調べた時そんな感じの事書いてあったね」

「武蔵君が私に飽きたり、他の人好きになったりして別れても私ずっと武蔵君の事好きになっちゃうから……重い女になりたくない……」

「俺からしたら楓ちゃんにそれだけ愛してもらえたらすっごく嬉しいんだけどさ。それで楓ちゃんが気を負っていなくなっちゃったら嫌だから言っとくよ。その副反応の効果呪いに掛かって80年過ぎると消えるらしいよ」

「……へ?」



武蔵君は持っていた鞄から古そうな紙の束を取り出して紙を捲った。



「楓ちゃんが受け継いでる書物にはこの事書いてなかった?」



私が製薬した魔法薬と全く同じレシピの記載がされている。
そして最後に捲ったページには……武蔵君が言うように80年過ぎると副反応の効果が現れなくなる事が書かれている。



急いで本棚に向かって自分の家の方から受け継いだ本を確認する。



「レシピは全く同じだけどうちのには書いてない……」

「見せて?」



武蔵君が覗き込んで来て書かれているページを捲る。
レシピが書かれている最後のページには無駄に下手くそな人の中身が入れ替わってる事を表しているようなイラストだけが描かれている。


「……このページ折れてない?」

「え?」


するとイラストのページは折れて見開きになって内側にその事が記載されている。


「……はぁ!?何この無駄な細工!こんなイラストいらないからここにその事書きなさいよ!」

「まぁまぁ。今怒っても仕方ないよ」


武蔵君はそう言って笑った。


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