慶ちゃんが抱いてくれない!



真穂は材料を探してくると言って、走って何処かに行ってしまった。



しばらくして、なかなか戻ってこない真穂を探していると真穂の家の庭で真穂が何かを作っているのが見えた。



「ねぇ!真穂ー!何作ってるの?」



駆け寄ると、真穂は瓶に虫やヘビや蝉の抜け殻やトカゲの尻尾などを謎の液体で混ぜた物を見せてきた。



「うわっ何だよ!これ!」

「慶ちゃんこれ飲んで!お鼻の風邪が治るんだよ!」

「やだ!そんな気持ち悪いの飲めないもん!」

「えっ…ふえッ…慶ちゃんの為に作ったのにぃ…」

「だってそんなの……ふえぇッ」



俺達は二人して泣き出していた。




「あれー?真穂ちゃんと慶ちゃん泣いてるよ?」

「あらら…二人ともどうしたの?喧嘩?」



真穂のおばあちゃんと、兄貴が手を繋いで庭にやって来た。

兄貴はいつも不思議な薬を作ってくれたり、色んな話を聞かせてくれる真穂のおばあちゃんが大好きで、真穂のおばあちゃんが来ていると必ずずっと一緒にいた。



「ふゥッ…慶ちゃんがぁ!まほちゃんの事お嫁さんにしてくれるのに…ヒグッ…まほちゃんが作ったお薬飲んでくれない…」

「ヒックッ…そんな気持ち悪いの飲まないもん」

「あぁー…真穂ちゃん、これは慶次君も驚いちゃうよ」



真穂のおばあちゃんは苦笑いをしながら、真穂が作った瓶を眺めた。



「…慶ちゃんのお鼻の風邪治したいんだもん…ヒック…」

「そっかそっか!じゃあ、おばあちゃんが作ってあげるからお手伝いしてくれる?」

「…うんっ」



真穂のおばあちゃんは桃などのフルーツや綺麗な色の花や葉っぱを混ぜて、真穂にも出来そうな事をやらせながら何かを作り始めた。

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