唯くん、大丈夫?
唯くんはため息を吐きながら、手を私の背中に回して倒れかかるように抱きつく。



「わ!?ゆ、ゆゆゆゆ、ゆぃ、く」



突然のことに息の仕方が分からなくなる。



こんなみんなが見てるところで抱きつかれるなんて予想外で、どんどん顔が熱くなっていく。



「ちょ、ま、唯くん、唯くん、みんなが見てる、見てる!」


私はそう言って唯くんの背中をバシバシ叩いた。




……あれ?


唯くん痩せた…?




私が唯くんの体をきゅっと抱きしめ返して確認していると、唯くんの体がどんどん重くなってこちらに傾いてくる。



「あれ?えっ、わわ、唯くん…!?」



そのまま壁にぶつかると、私は支えきれずに唯くんごとぺシャッと床に崩れ落ちてしまった。













「…おい、どうした?」


たまたまてらちんが通りかかって声をかけてくれた。


あっけに取られた私がてらちんに聞いてみる。





「…唯くん、寝てますか?」






てらちんが唯くんの顔を覗き込む。






「…唯くん、寝てるな」






私にもたれて眠る唯くんは

それはそれは気持ちよさそうな寝息を立てるので

私は思わずシャンプーが香るサラサラな黒髪をよしよし、と撫でたのだった。


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