唯くん、大丈夫?
また夢の世界へ行ってしまいそうな唯くんに、おそるおそる声をかける。


「…唯くん、どうしてそんな眠いの?」


「んー…寝足りなくて」


唯くんは枕に顔を埋めて、甘ったるい声を出す。


「ちゃんと寝ないとアカンよ?」


「…せやな」


唯くんは顔半分を枕に埋めたまま私を流し見ると、腕をグイッと引っ張った。




「わ、わぁ!?」






私は引っ張られた勢いで横たわる唯くんの懐に飛び込んでしまい、そのままギュッと腕の中に閉じ込められた。






「ゆ、ゆゆゆゆ!?」




「一緒に寝よ」




唯くんは布団をかけて、
私のおでこに頬擦りするように顔を寄せる。





「へ!?な!?む、無理!無理無理だめだよ寝れないよ!」




こんな顔面国宝に抱きしめられてたらドキドキしすぎて寝れるわけないよ!!




「あっ、うっ、上履き!ゆ、唯くん、唯くん、離して…!」




唯くんは私の抗議を堂々と無視して片手で私を抱きしめたまま、もう片方の手でよいしょ、と私の上履きを脱がせて放った。

上履きは情けなくぽてっと下に落ちる。




「大丈夫。いい子いい子」




唯くんが甘ったるい優しい声で私の頭を撫でて、寝かしつけにきた。







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