唯くん、大丈夫?
………夢?
呆然とする私の視界に一番に入ったのは、不機嫌な顔で私を見る、
「…咲優」
「どんだけ深い眠りだよ…俺、本気で15分ぐらい声かけてたんだけど」
咲優がひどく疲れた様子ではぁー…とため息をついた。
大浦高校の制服を着崩した背の高い咲優を見て、
あ、やっぱり夢じゃなかった、とぼんやり思う。
「咲優はずいぶんとまぁ…男らしくなったぁねぇ。」
寝ぼけ眼で突拍子もないことを言う私に「は?」と顔をしかめる咲優の顔は、
昔に比べてシュッとして、髪型もなんだかオシャレになっちゃって。
入学したての頃は制服に着られてピッカピカのぶっかぶかだったのに、今はすっかり着こなして丈がちょっと足りないくらい背が伸びた。
塩顔イケメンだとか言われて案外女の子にモテてるらしいです、うちの弟。
お姉ちゃんはあの絶賛反抗期の咲優に会えなくなって少し寂しいですよ。
「なに親戚のおばさんみたいな寝言言ってんだよ。そんなことより…」
すぐに殺すぞとか言わずに大人な対応をするようになった咲優が、私のスマホを拾って画面を見せる。
「ほら。電話鳴ってた。美琴さんから。」
「!!」