唯くん、大丈夫?
「そっちばっかずるいじゃん」


え?

ず、るい?


「俺だって気弱になってるダサいとことか、キレてわけわかんなくなってるとことか…見られたくなかった」

唯くんが優しく私の目にたまる涙をぬぐって、頬に手を添える。

「でも、優花のこと見たい。俺のために泣いたり笑ったり、恥ずかしがったり怖がったりしてる優花は可愛い。
全部、可愛い。…全部見せて」


「〜〜〜!!」


私は恥ずかしすぎて、唯くんに掴まれてる手をなんとか動かして腕ごと顔を覆う。


「…しつこい」

「いま、茹だってるので…ッ、真ダコが茹で上がってるので…!」


唯くんが、
よいしょ、と簡単にその腕をどける。


「…あっか」

「だから、言ったじゃん…!」


CGみたいに整った顔の唯くんが、意地悪く笑う。


「そういう顔。もっと見たい」


それがあまりにもキレイだから、私は映画の中に入っちゃったのかと思って一瞬固まった。

唯くんはその隙を狙って少し触れるだけの、キスをした。


「〜〜〜〜〜!!」


耐えきれずにまたしても手で顔を覆う私。

…を、またしても簡単に取っ払って見つめる唯くん。

だからお顔が!お顔がかっこよすぎるから!
私、このままだと召されてしまうよ!天に!


「…羽根村優花は、俺の彼女。いい?」


唯くんが小首を傾げて流し目で言った。


…全人類に問いたい。

これに抗える人がいるのですか?と。


「……はい。」


唯くんがまた意地悪く笑って私の顔を両手で包む。


「…いい子」


唯くんはゆっくり目を伏せると

さっきより長くて、さっきより熱いキスをした。
< 56 / 456 >

この作品をシェア

pagetop