今日から君の専属マネージャー

 そして、やらかした。

目覚ましをかけ忘れて、寝坊した。

家にはもう誰もいない。

いったい今何時なんだ。

時計を見ている余裕もない。

私はテキトーにタンスからいつもの服を取り出し、吉田グッズの袋を二つ提げて家を飛び出した。

昨夜の記憶を頼りに電車に乗り込む。

最寄り駅だけでも調べておいてよかった。

スマホで時刻を確認すると、すでに10時を回っていた。

当初の待ち合わせ時刻は、


「8時、だったよね? しかも現地に」


当然だけど、涼ちゃんから何度も着信が入っている。

なんだか信じられない。

自分のスマホに、「羽瀬涼也」の名前で着信履歴が入っているなんて。

ぽうっとしながらその名前をしばらく見つめて、私はぶんぶんと頭を振った。

今はそんなこと考えてる場合ではない。

電車の中で涼ちゃんに電話をかける。

だけど出ない。

スケジュール帖を確認しようと鞄の中に手を突っ込んで、自分の顔がさあっと青ざめていくのがリアルに分かった。


「……ない」


 忘れた。

とんでもない忘れ物だ。

今日の動きがさっぱりわからない。

あれほど確認したのに。

頭の血がさーッと引いていく。


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