青に染まる
 結局その日はなんだかんだで幸葵くんは終わるまで付き合ってくれた。「仕方ないですね、相楽は」と言いながらも、わからないところは解説してくれる。やっぱりいい人だな。

 日が傾いて空が藍色に染まってきたところで、さすがに今日は終わりにしようと席を立った。

「付き合ってくれてありがとね」
「……いえ」

 暗がりの教室で、彼の表情は窺えなかったが、嫌がっているわけじゃないといいんだけど……。なんせここまで付き合ってくれたのだから、気を悪くしていない……と思いたい。

 校舎を出ると、空は半分藍色で半分橙色。中間が紫になっていて綺麗だ。

「今日は助かったよ」
「それならよかった」

 半分夜空の夕焼けの下で、そのとき彼は笑った気がした。
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