敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
航空重大インシデント
ハワイから帰国して翌々日、職場で杏におみやげを渡し、飛行機恐怖症を克服したと伝えた。

「愛の力は偉大だね」

杏はにやにやしながら、最大の困難を乗り越えた私を喜んでくれた。

「うん。本当によかったよ」

「あとは大地さんの浮気の心配だけか」

「杏、それまだ言うの? 二、三人がかりで馬乗りになって襲われたら、大地さんでもヤっちゃうっていうやつ?」

改めて考えてもありえない。

「ひとりでもヤっちゃうかもね」

「状況悪くなってるじゃない」

「別に幸せに水を差したいわけじゃないよ? ただ、心構えしておかないと、いきなり浮気が発覚したら立ち直れないでしょ?」

「それはそうだけど、大地さんは大丈夫だと思う」

少しも揺るがない私に、杏は神妙な顔つきをする。

「ちえりのそういうとこ、うらやましいよ。でも男ってね、家庭がうまくいってるときに浮気するのよ」

「え……。いきなり深いんだけど」

重みがありすぎる。

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