敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「私の愛は重いって言ったでしょう?」

「俺もおまえに負けないくらい、愛が重い男だよ。十四年前、『十年俺を好きだったら考えてやる』って言ったの、覚えていないのか?」

不意に問われ、記憶を辿った。というか、普通に思い出せる。彼に言われたことは一字一句この身に刻み込まれているからだ。

「覚えていますけど……え!? もしかしてそれって、大地さんもあの頃から私を好きだったんですか?」

「好きというか、かわいいと思っていた」

「うそ!? 完全に脈なしだと思ってたから、『考えてやる』って、なにを考えてくれるんだろう? ってわけがわからなかったんですよ」

だから気にもしていないセリフだったのだ。

「鈍感。つーかあほだったんだな、おまえって」

「家に帰ったら、その辺の話を根掘り葉掘り聞かせてください!」

詰め寄りながら、いったい私たちは公衆の面前でなにをじゃれ合っているのだろうと可笑しくなった。

というか、あわや大惨事になるところだったのに、メンタルが強靭すぎる。

彼とたわいもない会話ができるのが、幸せでたまらなかった。


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