敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「息子じゃない。養子縁組はしていないから」

母親が再婚する際、その相手と俺が養子縁組を結ぶ義務はない。俺は自らそれを断っていた。

「それでも法律上は親子なの」

「母さんの前によりよい条件の男が現れるたびに変わる父親? 笑える」

俺の父親は、パイロットになる夢を諦め、小さな町工場を継いだ人だけだ。

「それのなにがいけないのよ。ひとりの男性だけを愛せって? お金で結婚相手を選ぶのは最低だって言いたいの?」

「別に」

「愛なんて永遠じゃないの。お金は性格や容姿、能力と同じように、その人の一部なのよ。それのどれを愛したってかまわないでしょう」

この人とは相容れない。諦観しながら母の主張を聞いた。

納得を示すわけでも、反論するわけでもなく、冷静なままの俺に、感情に任せてまくし立てていた母は少し平常心を取り戻したようだ。

「とにかく、まずは私とあなたの奥さんを会わせて。きちんと見極めさせてもらうわ」

「見極めるってなんだよ」

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