オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「何か気になるものはあったか?」

「はい。森下製菓と日向飲料が面白いやりとりをされています」

 ドキドキを隠し、タブレット画面を見せる。その画面を真剣な表情で見る部長。内容は軽く面白いものだが、笑う様子もなく淡々と見ている。

「纏めてくれ」その一言でタブレットを返される。

「はい」


 今や、SNSが絶大な宣伝効果をもたらす。テレビCMや新聞雑誌に広告を出すためには莫大な費用が掛かる。そこも、広告代理店にとっては大事なクライアントであり仕事でもあるが、SNSには無限の可能性を秘めている。

 子供達の憧れの職業がユーチューバーという時代。

 昔なら考えられなかった、異業種や同業他社がSNSで交流する。そこに目をつけ企業コラボで宣伝を企画する提案を椎名部長が早くから立ち上げているのだ。

 柚は、世に溢れる情報から気になるものを拾い椎名部長に報告をあげ、その中から椎名部長の判断で具体的に企画していく。

 依頼を待っているだけでは置いていかれる時代だ。

 『ユニバースエージェント』の業績が上がり続けるのは、時代の流れに乗っているからだ。



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