オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 帰りのサービスエリアで買ったお土産と柚のお泊り用のカバンを響が持ち、反対の手で柚と手を繋ぐ。

 エレベーターに乗り部屋に近づくにつれ、緊張が増す。だが、普段からポーカーフェイスが得意だ。柚には冷静で落ち着いているように見えているはずだ。

「ここです」の声と共に手に持っていた鍵で扉を開ける。

「ただいま〜」中に向かって声を掛ける。

 すぐに、中から扉が開き楓が顔を出す。

「おかえり〜」

「はじめまして」

「椎名さんですね。急に来ていただいてすみません」

「こちらこそ、お誘いありがとうございます」

「とりあえず中に入らない?」柚が挨拶を交わす二人に割って入る。

「そうだな。どうぞ」

 響は、社内で柚の彼氏だと騒がれた事に納得する。双子と事前に聞いていても驚く。長身でイケメンで落ち着いた楓は、柚とはあまり似ていない。可愛い雰囲気が少しある所が共通点かとは思う。

 二人の後をついて廊下を歩いている時、ふと柚の言葉を思い出した。

「プッ」と笑ってしまう…





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