たぶんもう愛せない
「今日、親父とランチだったんだって」

「そうなの」

「俺は初耳だけど」

「言ってなかったもの」

「ふ〜ん」
海は面白くなさそうに返事をすると鰤の竜田揚げを口に運ぶと「あっ、うまっ」と声を漏らしたことで、観念したように

「それで美味しかった?」

「うふふ、美味しかった。回らないお寿司なんて生まれて初めて食べたの」

「だったら、俺と一緒に行く?」

「海は嫌かもしれないけど、やっぱり回る寿司の方が落ち着く。回らないのはすごく美味しいけどね、やっぱり慣れないというか」

「だったら、回る寿司を食べに行こう」

「うん、食べに行きたい」

海は微笑んでから、真顔に戻ると
「やっぱり、どうして俺に内緒にしたのかを聞きたい」

「別に、今夜の食事の時の話題にしようと思ってただけだけど」

「なるほど、俺がヤキモチを焼くことは考えなかった?」

「海が?ヤキモチ?全然考えてないわ」

「なるほどね」

「でも、行ってはダメってことはないでしょ」

「無いよ」

「よかった。これからも時々つれていってくれるって。楽しみ」

「やっぱり俺も昼休みにランチに誘いたい」

「海はしっかりお仕事してね、お義父さまはすこしずつ仕事量を減らしていくんだから」

「分かったよ」
海は両手のひらを上に向けて降参のポーズをとった。

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