たぶんもう愛せない
<煽る>
朝、海のスーツを準備する為にクローゼットを開ける。

弥生からプレゼントはもらっていないんだろうか?自己顕示欲の強い人だから身につける物をあげていそうだ。香水とかパンツとかだったらマジで気持ち悪い。

そう思っていたら、小物を入れる収納ボックスの横に無造作に置いてある長方形の薄い箱が見えた。
箱を開けると、そこには青いバラ柄のネクタイでハイブランドだと思うが、海は新宮電機の専務という立場でホストではない。
これはたぶん弥生からのプレゼントだ。彼女のセンスに呆れてしまう。

こんなところに放置するなら会社のデスクの中にでも入れておけばいいのに。でも、せっかくだから夜の帝王風にコーディネイトしておこうかしら。

ネイビーのスリーピースと薄いブルーのワイシャツとともに青いバラのネクタイを合わせておいた。

何気なく海用のサイドテーブルの上を見るとトレーに財布とともにあのボールペンも置かれていた。

< 71 / 126 >

この作品をシェア

pagetop