たぶんもう愛せない
朝食の準備をしながら昨夜の海の事を考える。
もっと焦るかと思ったのに、何となくほっとした様に見えたのは錯覚なんだろうか?
それに、寝言で私の名前を呼んでた。
弥生〜とか言ったら急所を蹴ってやったかしれないけど。

海の事がわからない。


スマホに通知が入り見てみると弥生から今日は来なくていいとの事だった。
流石にあの部屋を見られたくないのか、他にカメラがないか探すんだろうか?
どちらにしても、助かった。

「おはよう奈緒」

「おはよう」

こんがりトーストを一口噛んで咀嚼する音がサクサクと小気味良い。
パリパリウィンナーをフォークで刺すとプツンという音がなり口に入れるとパリンという音とともに肉の旨味が口中に広がる。

暫くは無言で食べていたが、海が気まずそうに話を始めた。

「昨夜は、俺が奈緒をソファで襲った?」

神妙な顔つきが可笑しくて噴き出してしまった。

「そうね、でも途中で寝落ちしてたから」

「そうか、じゃあ奈緒に無理強いみたいなことはしてないんだね?」

「そんなことを気にしていたの?」

「記憶がないから、何か酷い事をしたんじゃないかと、ちょっと心配になって」

酷い事ならたっぷりしてるわよ。
と、言いたい所だがグッと我慢をする。

「よかった」海はそう言って穏やかに微笑んだ。

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