レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



「とにかく、おばさまに見付かったらマズいから早く出ていきなさい」

「兄さんには?ばれていいの?」

「駄目、だけど……」


語尾が弱くなる言葉に、太央が目をパチパチとさせる。
彼に誤解されようが、もうどうでもいいのかもしれないけど……。



「眠らせてあげようか?この間みたく」

「いりません。自分で眠れるから」


にたーっと笑う太央を睨み付けてから、右手に持っていた薬を口に入れて。ミネラルウォーターを口に流し込んで、ぷはっと勢いよく息を吐いた。



「こういうのって、副作用出るんじゃないの?ダルくなったり、昼間眠くなったりさー」

「でも、服薬するしかないでしょう。あなたには分からないだろうけど、睡眠を取らないと次の日に支障が出るのよ」



「うーん、眠れなかったら眠らなきゃいーんじゃないの?ほら、横になって」


両肩をぐいっと持たれて、この子の体の重みで布団の上に倒される。
そのまま、太央が床に両手をついて上から見下ろされる形となった。



「やめてよっ」

「しっ、静かに。大きな声出すと、部屋の外に聞こえちゃうよ。義母(かあ)さん泣いちゃうかもなー」

「……っ、」

「一緒に住んだら毎日 夜這いできるんだねー。そうしたら、こうやって俺が毎晩寝かしつけにきてあげるのに」

「……!?」


太央の手が私の頬に触れた瞬間、軽いキスが落とされて、啄むように"チュッチュッ"と口付けられていく。

< 93 / 219 >

この作品をシェア

pagetop