こんな溺愛,ありですか?
ちょっと不機嫌そうな声と顔。

いつもの一貫して暇そうな山宮くんは何処に行ったんだろう。

ころころ態度が変わって,全く追い付けない。

そういう顔って,なに。



「……誰にでも,赤くなんの?」

「そんなの分かんないよ」



絞り出すような声でそういうと,山宮くんは嬉しそうに笑う。



「じゃあ,俺だけ?」

「…知らないっ」



私はあははと笑う山宮くんを,キッと睨んだ。

やっぱり山下くんは……意地悪だ。



「しーちゃん。先生くるよ」



今度は本当。

だから,なんでそんなに嬉しそうに笑うの。

なにも言えなくなるじゃん……

そんなの,ずるい。

チャイムと同時に先生が教室に入ってくる音。

それを聞きながら,私はこれからの生活を想像して,ため息をついた。
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