イケメン総長は、姫を一途に護りたい
お父さんの頼みだからだ。


だから、わたしと千隼くんは――。

…そういう関係じゃない。



「ここっすよ」


ヒロトくんは、2階にあるとある部屋にわたしを招き入れた。


入ってみたはいいものの、なにもないただの空き部屋。


「ここに、なにがあるの?」


と、振り返ったそのとき――。


ヒロトくんが…ゆっくりとドアを閉めた。



「…ヒロトくん?」


なんだか…さっきまでのヒロトくんの雰囲気と違うのは、気のせいだろうか。


「ここにはなにもないみたいだし、みんなのところに戻ろうか…!」


違和感を感じて、わたしは部屋から出ようとドアを開けた。

しかし、その手をヒロトくんが握った。


開け放たれたままのドア――。


「逃しませんよっ」


それをバックに、ヒロトくんがニコッと微笑んだ。
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